本号(令和6年8月号)では、米農家を営みながら「米利休」としてSNSの発信活動も行っている笹木廉さんに密着しました。
笹木廉さん
Profile
インタビュー内容一覧
祖父のもとで一緒に農作業を行っています。祖父も77歳になり体力的にできないことが増えてきたので、祖父に教えてもらいながら多くの作業を行っています。
もう一つはSNSの発信です。今はInstagramとTikTokを活用し、農家としての日々の様子や、自分の考え、思い、ちょっとした努力を見える形にして発信しています。
半導体などの材料について学ぶ学科に所属していました。その中でも、薄くて曲げたりもできる「ペロブスカイト太陽電池」を自分の研究分野として活動していました。この研究は世界でも初めての事例であり、貴重な研究は任せていただいていました。
大学時代にネットショップやYouTube、SNSのコンサルティングを行っていました。当時は卒業後も、大学院への進学や就職をせず、その道で活動していきたいと思いがある一方、別の道も模索していました。ちょうどそのとき、実家では農業の廃業話が出ていました。農業を続けていくことが難しい経営状況だったことが理由です。このとき私は、何代も続いてきた農業をここで潰したくない、農地を守っていきたいと考え、農家を継ぐことを決断しました。
今は米以外に大豆も作っています。将来的には様々な野菜を作っていきたいと思っています。私はにんじんが好きなのでにんじんを作りたいですね。食卓に並ぶような野菜は一通り作れるようにしたいです。それは収益の安定性を保つためにも必要だと感じています。
周りの方と関係を作っていくことの重要性を感じました。例えば、農業をしていく上で農地を集めていくためには自分を認めてもらう必要があります。そのために日々のコミュニケーションや人間関係を大切にしていきたいと思っています。
農作業自体は思っていたよりも楽しめています。機械操作はもちろん、体を動かすことが好きなので運動感覚で楽しんでいます。
大きく2つあります。
1つは、私の家のお米を購入したいと言ってくださる人が増えたことです。ありがたいことに、ネットショップを開設すればおそらく私の家規模なら完売するほどフォロワーの方が集まりました。
もう1つは、人脈の形成がしやすくなりました。SNSにより、農業法人の経営者の方々からアプローチをいただけるようになりました。先日もそのご縁により、勉強会に参加させていただきました。
圧倒的な「弱者」から「強者」になるまでの過程をドキュメンタリーにすることをイメージして発信しています。テレビでは、よく成功者の過去をみせる番組がありますが、逆はリスクがありできないことだと思います。これはSNSだからこそできることだと思っています。フォロワーの皆さんには応援いただきながら、SNSで描くストーリーを楽しんでいただきたいです。
私がターゲットにしているのは30代~50代の女性であり、主婦層の方です。理由は、食品の購入を決める方々だからです。そういった方がおもしろいなと思うような動画を発信しています。具体的には、農薬の使用や将来の米不足のことなど、食に関する話は興味を持っていただけると感じます。
農業人口が減っていることが課題だと思っています。私自身その課題解決に貢献していきたいです。若手の農家を集めていくためにSNSで募集をしたり、自分の発信により農業をしたいと考える人を増やしていくことが社会貢献につながると考えています。SNSのコメントやDMで「働きたいです」という声もいただいているので、いずれは法人化して農業をしたい人を集めていきたいと思います。
今まで祖父が守ってきた米を日本一有名な米ブランドにすることを目標にしています。
それから、自分が発信することで農業界をポジティブにしたいです。私の声が農政に届いたり、私の発信をみて農業のモチベーションが上がり農業に参入する人が増えてくれると良いなと思います。
さらに、10年後のビジョンとなりますが、農作業をしているとこんな機械があったら良いなと思うことがあるので、学んできた工学の知識を活かして現場目線で誰でも欲しいと思える機械を作る会社を作りたいと思っています。
Information
米利休としてSNSで自身の農業活動や考え方を発信中