バレーボール日本代表として活動する髙橋健太郎選手。先日開催された「バレーボールネーションズリーグ2023」では大会初のメダル獲得、「2023年バレーボール男子アジア選手権」では3大会ぶり10度目の優勝に貢献されました。本ページでは髙橋選手の活躍に迫ります。
Ⓒ東レアローズ
プロフィール
髙橋 健太郎(犬川地区出身)
日本チームとしても個人としても良い成果をあげることができたと思っています。世界の主要大会で日本チームが47年ぶりにメダルを獲得するという快挙の一員になれたことが誇りに思います。私個人の競技人生においても今後の糧になるような結果を残すことができました。
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日本代表と東レアローズ(1)どちらのチームでも私のポジションはミドルブロッカー(2)であり、強みはブロックです。
東レアローズでは、10月から4月頃まで開催されるVリーグに出場します。その期間は、月曜日がだいたい休みで、火~木はチームの体育館で練習を行います。木曜日の午後から試合会場地への移動となります。金曜日に会場で試合形式の練習を行い、土日に試合というスケジュールになっています。
日本代表では、午前中にウエイトを行って午後3時間くらいチームでの全体練習を行っています。
私は筋力を重要視しているので、人より多めのメニューをこなしていく必要があります。通常は、Vリーグのオフシーズンの夏の期間に集中的にトレーニングを行う必要がありますが、その期間は日本代表としての活動となりますので、トレーニング期間を設けることができません。したがって、基礎体力や筋力を増強させるために、大会が続く期間でも練習の間を見つけてトレーニングを行います。怪我をしない体づくりを行うために、私はだいたい1日9種目、1種目で8回の3~4セットのウエイトトレーニングを行います。あとは体幹トレーニングを1日4種目を3セット行います。
大学生の頃日本代表に選出いただいたときは、特に緊張はなかったです。みんなが見ているなかで活躍することに活力を見出し、すごくエネルギッシュな感じで、ミスしても全然構わない。あの頃は自分のことしか考えていなかったので、個人のミスは仕方ないと割り切っていたところがありました。
年齢が上がるにつれてそのチームに対する責任や役割が増えていく中で、緊張することが多くなりました。シーズンの記録を出さなければならないということはもちろん、結果次第では個人としてバレーボールのキャリアを続けていけるかどうかが関わってくるので、やっぱりプレッシャーはあります。でもその中で、プレッシャーから逃れようとすると今までの経験上成長がないので、毎年毎年成長を重ねていくためには嫌なことやストレスから逃げずにぶつかることが大切だと思っています。そこで失敗したら失敗したで成長の糧になると自分の中で解釈し、逃げずにトライしています。
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ミドルブロッカーは、ブロックの重要性が求められ、セッターとの駆け引きが必要なポジションです。ブロックは、スパイクのようにその場の瞬時の判断でいけるものでもないので、対戦相手の映像を見て分析するようにしています。Vリーグシーズンであれば、火曜から金曜まで1日2試合見ます。
試合当日は、コーヒーを飲み、ゆっくりお風呂に入って体をほぐしてから会場に向かいます。
体のケアを欠かさずに行っています。やっぱり怪我してしまったら試合に出れなくなってしまうのでケアを重要視しています。
練習の2時間前に会場入りし、ストレッチや、体を起こすためのトレーニング、腰に電気を流して刺激を与える物理療法、目のトレーニング、あと腰のPRIという腹式呼吸のトレーニングを行います。その後練習の1時間前からは、練習に向けて準備を行っています。
食事にもこだわっています。シーズンを通して体重や体脂肪をキープするために管理を徹底しています。シーズン中体重が落ちてしまったときは、何が足りなかったのかを分析し、食事でプラスアルファをとってみたり、サプリのとり方やトレーニングの内容を変えています。
試合前の夜は、脂質はとりすぎず、炭水化物をたくさんとって次の日にエネルギー切れを起こさないようにしています。米であれば、前の日に1.5合から2合弱くらい食べます。それから、間食は多めにとっていて、バナナやだんごを食べています。当日は、私は朝食をあまりとらないタイプですが、その日に限っては朝食はヨーグルトとかフルーツをとるようにしています。試合前にはだいたい決まってうどんを食べます。
私は人のめぐりあわせに恵まれていると思っていて、多くの人の支えがあったからこそ今こうやってバレーボールを続けられています。バレーボールとの出会いも高校の先生に見つけてもらっためぐりあわせです。大学も高校の先生のつながりでスカウトしていただくことができました。東レアローズについても、高校の先生が元々つながりがあったことがきっかけで、多くの方のお世話になって入団することができました。
また、めぐりあわせの中で多くの方に応援いただいています。実はけっこう試合会場に山形県の方がいらっしゃっていて、声援をいただいています。あとは川西町に帰ったときもスーパーなどで声をかけていただくことがあります。そういった瞬間にバレーボールをやって良かったなと思いますし、多くの人に支えられ応援いただいて今の自分があるんだと考えると、誇らしい気持ちになります。そして、今があることに幸せを感じています。
東京オリンピックの出場メンバーから落選したことです。東京オリンピックを目標にバレーボールをはじめ、U18(1)の頃から東京オリンピックと言われていたので、その目標をクリアすることができず、ものすごく悔しい気持ちになりました。また、地元の方や声援してくださった方の期待に応えることができなかったことは本当に悔しかったです。私は地元が大好きなので川西町に帰ることが多いのですが、あのときはは帰りづらかったです。みんなの期待を裏切ってしまったという気持ちが強かったです。
私にとって家族というのは一番大事な存在です。独身で自分一人のためにやっていたときと、結婚して自分の家族がいる中ではやっぱり景色が違います。家族ができてバレーボールの見え方も変わりました。そして、家族がいることでよりアグレッシブになりました。やっぱり家族の存在は大きいです。試合でプレーしているときでも、自分一人のためならあきらめていたところでも、家族の存在によりあきらめなくなりました。
また、子供に対しても自分がいい父親でありたいと思っています。父親の姿勢を見せれる場所に私はいるので、そういった環境にいれることに感謝しながら、子ども達に自分の取り組む姿勢であったり、背中を見せていきたいなと思っています。そしていいお手本でありたいです。
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東京オリンピックを目指していたときよりも自分のためにバレーボールができるようになりました。東京オリンピックを目指していたときは、ただ漠然とオリンピックに出たいという考えでやっていたので、なかなか安定して活躍することができていませんでした。
東京オリンピックが終わってからは、自分の足りない部分などを客観視し、その中でやっぱり自分のためにバレーボールをやらないとダメなんだと思うようになりました。東京オリンピックを目指していたときは人任せにしていたことがあったので、自分で自分の責任はしっかり負って、自分がやると決めたことはやり遂げるということにフォーカスしました。それで自分の足りない部分をしっかりブラッシュアップして、今まで目をつぶったところに集中的に練習できるようにしました。このようにオリンピックに落選したという経験があったからこそ、Vリーグで個人賞を2年連続でとることができました。全く違うプレーヤーに生まれ変わることができたので、今ではこの落選の経験があって良かったと思っています。
私はどちらかというとスパイクが得意だったので、その能力を買っていただいて日本代表に入っていたと思います。しかしながら、なかなか目に残る実績を残すことができませんでした。
数字を見て分析し、足りないところはブロックと考えました。また、日本代表のミドルブロッカーもブロックが課題だとずっと言われていたので、私がブロックを徹底的に練習していけばもしかしたらいいミドルブロッカーになれるかもしれないと思いました。そして何よりもまた違った自分に生まれ変わりたいという気持ちもあったので、ブロックを徹底的に練習しました。その結果、年間Vリーグで40本くらいしかブロックをしていなかったのが、次のシーズンで100本以上結果を出すことができました。
東京オリンピックに落選してバレーボールをやめようかなと思ったときがありました。それでも東レアローズの支えがあったからこそ、こうやって戻ってくることができたと思っています。ですから、私にとって東レアローズでVリーグを優勝することが大きな目標です。
また、ブロックをここまで武器にすることができたので、とことん極めていきたいと思っています。スポーツ選手には年齢の壁があります。私も今年29歳になることと、バレーボールはジャンプをする競技であることから、年齢的に厳しいところが今後出てくると思います。現役を長く続けていくためにも、自分の武器をもっともっと仙人のように研究し尽くしていきたいです。
それから、私はいろいろな人に教えたいと思っているので、今後指導者になりたいですし、本を出してみたいです。ブロックの本出してみたいですね。そして、バレーボールのまだ3分の1もわかっていないので、もっと勉強したいなと思います。
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学生時代は自分の基礎を作れるので、何か自分の習慣をつくることが大切です。私自身学生時代自分の弱い気持ちに勝つことができなくて、習慣をつくる努力ができませんでした。その点が悔やまれるので、戻れるならやり直したいです。
勉強でも同じです。学生時代は、勉強は意味がないと思っていたので意欲がありませんでした。でも社会人になって思ったのが、勉強とバレーボールには実は密接な関係があるということです。思考を巡らせるにも瞬時の判断をするにも、普段勉強して頭の回転を早くしていることが大切だと思います。そういった部分でもっと勉強していればよかったと後悔しています。あと努力するにも 机に3時間向かって勉強するってなかなか根気がいることですし、集中力がいることなので、大人になっても活きてくると思います。
学生のときに何かに打ち込む、何かに全力になって日々集中して全力で生きる。そういう姿勢を大事にし、どんなことも何かにつながるんだということを信じて全力でやることが大切ですので、学生の方にも意識していてもらいたいと思います。
川西町の皆さんにまだ還元はできていませんが、たくさん応援いただいて、私の活躍を見て喜んでいる方がたくさんいらっしゃることが励みになっています。本当であれば山形県で試合があれば皆さんに見に来ていただけるのですが、なかなかそういった機会はないので、テレビをとおして見ていただいて私のバレーボールで元気になってもらいたいと思います。それから、子ども達に夢を与えられるよう頑張っていきます。引き続き応援よろしくお願いします。
Ⓒ東レアローズ
パリオリンピックをかけた大事な大会。髙橋選手をはじめ日本代表を応援しましょう。