▲下小松古墳群の前方後円墳 (K-36号墳)
下小松古墳群は、米沢盆地西縁の低丘陵に築かれた約200基からなる東北有数の大古墳群です。
北から陣が峰支群・永松寺支群・薬師沢支群・鷹待場支群・小森山支群・尼が沢支群の6つのグループがあり、このうち薬師沢、鷹待場、小森山の3支群179基が国指定史跡になっています。
これらの古墳は、古墳時代前期の4世紀後半から造られはじめ、古墳時代後期の6世紀に最盛期を迎えたと考えられています。大きさ10~34メートルほどの前方後円墳や前方後方墳、円墳、方墳があり、小森山支群には山形県下の約半数となる19基の前方後円墳が造られるなど、当時の東北経営のあり方を示す重要な古墳群となっています。
主な古墳を発掘調査した結果、鉄の刀や剣、鏃(やじり)などの武器類のほか、青銅鏡、ガラス製の玉、農工具、須恵器(すえき)や土師器(はじき)などが出土しました。前方後円墳は、一定の権力を持つ人物の墓とされていることから、これらの被葬者はヤマト王権にかかわりのある人物であったとも考えられます。
▲発掘調査で出土した主な資料
※下小松古墳群から出土した資料は、川西町交流館あいぱる内埋蔵文化財資料展示館で見ることができます。
▲ヒメサユリ、チョウセンアカシジミ(県指定天然記念物)、ハッチョウトンボ
下小松山には古墳以外にもみどころがたくさんあります。里山として、人の手が適度に加えられることで守られてきた豊かな環境には、チョウセンアカシジミやハッチョウトンボの生息地があり、ヒメサユリやニッコウキスゲ、オオコメツツジなどの希少な植物を目にすることもできます。
イザベラ・バードが「東洋のアルカディア(桃源郷)」と称賛した米沢盆地のほぼ全景を望むことができる展望台からの眺めは、山形県眺望景観資産に指定されています。また、現在ボランティアによる里山の維持管理がおこなわれているこの地域は「未来に伝える山形の宝」に登録されており、多くの人が訪れています。
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▲上空から見た下小松古墳群 (中央手前の丘陵地帯)