○川西町議会基本条例
平成25年3月27日
条例第13号
川西町民に選挙で選ばれた議員によって構成される川西町議会(以下「議会」という。)は、日本国憲法に基づく二元代表制の下で、合議制の自治機関として、町長と相互に抑制と均衡を図りながら、自治体運営についての調査、監視及び評価を行い、民主的地方自治の実現のための責任と権限を有する。
近年、国と地方自治体の役割分担の見直しが進められ自治権が拡大されているなかにあって、地域の自主及び自立のために地方議会の担うべき役割と責任は、従前に増して大きなものとなった。このような認識のもと議会は、自己変革とそれを担保する諸慣行、規程の見直しを行うものとする。
第一に、議会は町民の多様な意見を多様に代表できる合議機関であらねばならないとの観点から、これまで以上に公平、公正、透明な議会運営や開かれた議会づくりを進め、情報の提供と共有化を図りながら、町民の積極的な参加を求めていくことが必要である。
議会は、議会の責任において、町民との活発な意見交換を図り、地方自治の本旨に沿って、これを制度化することとした。さらに、議会内の各種会議を原則公開とし、会議の運営者は傍聴者に対して可能な限りの便宜を図ることを義務付けることとした。
第二に、議会は言論の府として、議員同士が自由闊達な議論をたたかわせ、その中から、論点、争点を広く町民に明らかにしながら、意見集約して、政策提言や政策立案を行っていくべきである。
このため、各常任委員会の採決にあたって、前段に必ず議員間討議を経なければならないことを制度化し、さらに議決の賛否責任を明確にすることとした。
議会は、地方分権時代のもう一つの担い手たるべく、未来に向けた新たな価値の創造に向けて、さらなる改革に不断の努力を重ねるとともに、町民の多様な意見を反映しうる合議体としての議会づくりを通し、町民と将来の町民の負託に誠実にこたえていくことを決意する。
ここに議会の役割、そして権限と責務を町民に明示し、その使命を達成するため、議会運営の最高規範としてこの条例を定める。
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制のもと、合議制の機関である議会の果たすべき役割を明確にするとともに、議会及び議員の活動原則等の基本的事項を定め、地方自治の本旨に基づく町民及び将来の町民の負託に的確にこたえ、情報公開と町民参加のもと、町民生活向上と公正で民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 公平性、透明性、信頼性を重視して、町民に身近で開かれた議会をめざすこと。
(2) 町民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、町政に対する町民参加の機会の拡充に努めること。
(3) 町民参加により得られた多様な意見を基に、政策提言、政策立案の強化に努めること。
(4) 町民を代表する議会であることを常に自覚し、町長の町政運営状況を監視し、評価すること。
(5) 自治体の意思決定機関としての議決責任を自覚し、町民の意思を反映して最良の意思決定を行うこと。
(6) 議会運営は、町民の傍聴意欲を高めるよう、簡明な表現、わかりやすい視点、方法で行うこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 町政全般に関する課題について、町民の意見、要望を的確に把握すること。
(3) 自己を高める不断の研さんに努め町民全体の代表者及び奉仕者としてふさわしい活動をすること。
(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うにあたり、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした同一の理念等を共有する議員で構成する。
(町民と議会の関係)
第5条 議会は、町民に対して積極的に情報を発信し、情報の共有を図るとともに説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、全ての会議を原則公開とし、傍聴者に対して便宜を供与しなければならない。
3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における参考人制度及び公聴会制度を活用して、利害関係者、識見を有する者等からの意見を聴取し、議会の討議及び政策形成に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、町民の多様な意見を把握し、町民の町政参加を推進するため意見交換会を開催する。
(議決責任等)
第6条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対して説明する責任を有する。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責任を有する。
(町長等との関係の原則)
第7条 議会審議において議員と町長及び執行機関職員(以下「町長等」という。)は、緊張関係の保持に努めなければならない。
2 本会議における議員と町長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
(町長による政策等の形成過程の説明)
第8条 議会は、町長が提案する政策、計画等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を高めるため及び町民の理解推進のため、町長に対して次の各号に掲げる事項の説明に努めるよう求めるものとする。
(1) 政策を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 町民参加の実施の有無及びその内容
(4) 他の自治体の類似する施策との比較検討
(5) 総合計画における根拠又は位置付け
(6) 財源
(7) 将来にわたる政策等の効果及びコスト
(予算及び決算における政策説明資料の提出)
第9条 議会は、予算案及び決算を審査するにあたり、前条の規定に準じて町長に対し、審査のためのわかりやすい説明資料の提出を求めるものとする。
(議決事件の追加)
第10条 町政全般にわたり重要な事件については、議会と町長が共にそれぞれの立場において町民に対する責任を負うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づき、議決事件として追加することができる。
2 前項の規定により追加する事件は、次に掲げるものとする。
(1) 川西町総合計画基本構想及び基本計画の策定又は変更
(2) 定住自立圏構想推進要綱(平成20年12月26日総行応第39号)の規定による定住自立圏形成協定の締結、変更又は廃止を求める旨の通告に関すること。
3 前項に定めるもののほか議決事件を追加する場合は、その理由及び根拠を明らかにしなければならない。
(監視及び評価)
第11条 議会は、町長等の事務の執行について監視する責務を有する。
2 議会は、本会議等における審議、議決等を通じて、町民に対して町長等の事務の執行についての評価を明らかにする責務を有する。
(議員間の討議による合意形成)
第12条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員間の自由な討議を中心に運営されなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会において、議案の審議及び審査に当たり合意形成に向けて議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする。
(政策立案、政策提案及び政策提言)
第13条 議会は、町の政策水準の向上を図るため、政策立案能力の強化に努め、もって、条例の提案、議案の修正、決議等を行うとともに、町長等に対し、政策提言を行う。
2 議会は、法第100条の2に規定する学識経験を有する者等による専門的事項に係る調査を行う。
(常任委員会)
第14条 常任委員会は、議会における政策立案を行うものとする。
2 常任委員会における委員外議員の出席や発言は、委員会の許可を得て行われる場合に限り制限を受けない。
3 前条の政策提言を行う場合は、常任委員会主催の政策討論会を開催するものとする。
(研修及び調査研究)
第15条 議会は、政策提言及び政策立案機能の向上のため、研修及び調査研究に努めるものとする。
2 議員は、政策立案能力の強化及び政策提言の積極的な実施を図るため、自らの研修及び調査研究に努めるものとする。
(広聴及び議会広報の充実)
第16条 議会は、情報公開と情報の共有を通し、町民参加をめざし広聴広報活動の充実に努め、町民との意見交換会を開催する。
2 前項に関し必要な事項は別に定める。
(議会図書室)
第17条 議会は、議員の調査研究に資するため議会図書室の充実に努めるものとする。
(議会事務局)
第18条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制機能の充実に努めるものとする。
(議員の政治倫理)
第19条 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、川西町議会政治倫理に関する決議(平成4年12月24日決議)を遵守し、品位の保持に努めなければならない。
2 議会は、必要と認めたときには、町民の意見を広く聴取するため、公聴会並びに参考人制度の活用及び審査、諮問又は調査のため附属機関を設置することができる。
(政務活動費の交付及び使途の公開)
第20条 政務活動費は、議員の研修及び調査研究に資するため、川西町議会政務活動費の交付に関する条例(平成15年条例第1号)に基づき交付するものとする。
2 前項により交付を受けた議員は、公平性及び透明性を確保するため、議長に領収書等の証拠書類を添付した使途報告書を提出するとともに町民に公開する。
(議員定数及び議員報酬)
第21条 議員定数及び議員報酬は別に条例で定める。
2 前項について、議員が提案する場合は、議会機能の維持、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、広く町民の意見を聴取するものとする。
3 前項の目的達成のため議会は、公聴会並びに参考人制度の活用及び審査、諮問又は調査のための附属機関を設置することができる。
(最高規範性)
第22条 この条例は、議会運営に関する最高規範であって、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合において、この条例に定める目的及び原則に違背してはならない。
(検証)
第23条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを定期的に検証し、制度の改正が必要な場合は、本条例の改廃を含めて、速やかに適切な措置を講ずるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年5月2日から施行する。
(地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決事項に関する条例の廃止)
2 地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決事項に関する条例(昭和30年条例第7号)は、廃止する。
附則(平成31年3月22日条例第10号)
この条例は、公布の日から施行する。